KPIとは?目標達成のための重要指標を徹底解説
2025.03.31

仕事を始めてしばらくたつと聞くことが多い「KPI」、私(筆者)は社会人になってしばらくの間、この言葉を知りませんでした。
仕事次第ではクライアントとの会話にも登場するビジネスの頻出ワードなので、この機会に是非覚えていってください。
目次
KPIって何?

おっす、おらシロ。
今回のテーマはKPIだね?

解説のソラだ、よろしく頼む。
まずはKPIの定義からチェックしていこう。
KPIの定義
KPIは、Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケーター)の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と言います。
一見難しそうですが、簡単に言えば最終目標達成(ゴール)のための中間目標のことです。
例えば、『3か月で10kgダイエットする!』というケースを考えてみます。
多くの方は、以下のように具体的な中間目標を設定するのではないでしょうか。
● 毎日〇〇分運動する
● 毎月の摂取カロリーを〇〇キロカロリーに制限
具体的に設定しないと、怠けてしまったり、なかなか行動に起こせなかったりしますよね。
これはビジネスでも同様で、KPIは多くのビジネスシーンで活用されています。
また、しっかり設定してあれば、失敗した時の振り返りにも役立ちます。
KGI・OKR・KSFとの違い

KPIと混同しがちな言葉に「KGI」「OKR」「KSF」の3つがあります。
KGI
KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」と言います。
英語の表記に入っている通り、KGIはゴールのことです。
先ほどの例でいえば、「3か月で10㎏ダイエットする」がKGIに該当します。
このゴールを達成するプロセスとして、KPIが設定されるわけですね。
OKR
OKRは「Objectives and Key Results」の略称で、「目標と主要な成果」と言います。
まず、O(目標)を設定し、達成のためにKR(成果指標)を設定していく流れになります。
KPI同様、目標の設定・管理のフレームワークになりますが、内容は多くの点で異なります。
具体的には、以下のような点が違いがあります。
〇 設定する目標
OKR:”組織が目指す姿”を目標に設定
KPI:”プロジェクトごとの達成地点”を目標に設定
〇 目指す達成率
OKR:60%~70%の達成率
KPI:100%の達成率
〇 目的
OKR:企業×従業員の結束強化・スキルアップ・コミュニケーション活性化など
KPI:目標の進捗管理・測定、評価基準の統一
一見似ているように思えますが、目的や目標など、内容は大きく異なります。
また、OKRはメルカリやGoogleなどの有名企業が採用していることでも知られています。
KSF
KSFは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「重要成功要因」と言います。
読んで字のごとく、成功の鍵となる要素を指す言葉です。
市場環境やビジネスモデルなど様々な観点から要素を抽出、その中で特に成功のために重要なものがKSFに設定されます。
なお、このKSFを数値化した指標がKPIになります。
KPIが目標となる数値で、KSFはその過程を表します。

あ~、こないだKPIがOKRしちゃって、結局KSFしちゃったわけよ!
アンダスタン?

うむ、専門用語が多すぎてシロがバグったようだな。
個人的には、まずは「KPI」と「KGI」をしっかり覚えてほしい。
KPIの重要性と役割
KPIの設定は、組織の目標達成のためにとても重要です。
どういった点で重要なのか、詳しく見てみましょう。
最終目標と中間目標が明確になる
前述のとおり、KPIはKGI達成のための具体的な中間目標です。
設定されていれば、目標達成には何が必要で、進捗がどの程度なのかを把握できるようになります。
すでにお分かりの方も多いと思いますが、KPIの設定は、前提としてKGIの設定が必要になります。
中間目標の設定と挑戦がモチベーションにつながる
中間の判断指標がない場合、設定の見直しや軌道修正の判断が難しくなります。
加えて、目標達成までの長い期間で達成する別の目標がないのは、とても疲れます。
KPIがあれば、途中で達成しながら目標達成に向けて進むことができます。
こういった観点から、KPIの設定はモチベーションの維持・向上にも役立ってくれます。
プロジェクトの振り返りが容易になり、改善につながる
仕事をするにあたり、業務改善は常に行われるものかと思います。
KPIを設定することで、測定した結果から業務の振り返りと改善が可能です。
KPIの設定により得られたデータは、日々の業務の見直しや、必要な改善を考える上で役に立ちます。
評価基準を統一できる
一般的にKPIには定量的な数値を設定します。
定性的な評価と異なり、不公平が発生しにくく、評価の基準として適しています。
目標達成のために設定した数値がそのまま評価になるので、納得感も得やすくなります。
問題発生時に軌道修正ができる
中間目標を数値で計測することで、想定との乖離に早く気付くことができます。
早く気付くことで、原因の特定や軌道修正といった対策を行うことが可能になります。

目標を数値で見える様にできるんだね、ありがたい。
評価基準の統一も本当に助かる、すぐ人情評価に走っちゃうからさ…

(シロ、評価する側だったのか…)
目標も達成感もない仕事は、モチベーションの維持が大変だしな…
では、次は設定方法(手順)について説明するぞ。
KPIの設定方法

KPIは、以下の流れで設定するのが一般的です。
① KGIの設定
② KSFの設定
③ KPIの設定
先にKGIやKSFを設定し、その後にKPIが設定されます。
それぞれ見てみましょう。
KGIの設定
前述のとおり、KGIは最終目標にあたります。
最初に設定し、それに基づいてKSFやKPIが設定されていきます。
設定の際は期限を明確にし、定量的な指標を設定するようにしましょう。
また、後述のフレームワークを活用するなどして、現実的で達成可能な設定を行う必要があります。
例えば弊社のWebサイトで考えるなら「問い合わせ数」は、KGIの候補となります。
設定の際は「6か月で、100件の問い合わせ数を達成」のように、期限や件数を明確にしましょう。
KSFの設定
次に「KGIの達成のためには何が必要か」を、考える必要があります。
これには、重要成功要因であるKSFが該当します。
サイトの「問い合わせ数」をKGIとした場合、「アクセス数の増加」や「離脱率の減少」「問い合わせ率」などが、重要な要因として考えられます。
このステップでKSFに設定した項目をベースに、KPIを設定していきます。
KPIの設定
最後にKPIの設定です。
何を目指し、どんな行動をとるのか、明確にしましょう。
ここまでのKGIとKSFの例であれば、設定の一例は以下になります。
・アクセス数:10,000件
・問い合わせ率:1%
上記を満たすことができれば、目標を達成することができます。
もちろん上記は一例で、これだけでは具体的なアクションに移れません。
KSFを細分化し、具体性なアクションを設定・計測していく必要があります。
設定と計測については、「KPIツリー」を作成することで、視覚的に理解しやすくなります。

最終目標を決めて(KGI)、達成に何が必要か考えて(KSF)、必要なことをどの程度やるかを中間目標にする(KPI)。
全部やらなくっちゃあならないってのが、ビジネスのつらいところだな。

ソラのマニアックなネタは置いといて…
設定したKPIは「KPIツリー」で可視化すると、運用が簡単になるね。
KPIツリーの活用

KPIツリーは、画像のようにKPIの設定や進捗を可視化したものです。
画像はあくまでイメージですが、こういった形に樹状でまとめるのが一般的です。
データが可視化されるため、進捗の把握やチームでの情報共有などに役立ちます。
KGIを起点に、左から右(もしくは上から下)に向かって展開していく形になります。

思うんだけど、仕事において「簡単にする」って超大切よね。
ミスが減るし、時短できる分早く帰れるしね。

KPIツリーはわかりやすい簡略化&効率化だな。
使えるものは何でも使って、早く帰って趣味のゲームを楽しむとしよう。
KPI設定に役立つフレームワーク
KPIを設定する際に役立つフレームワークを紹介します。
SMARTの法則
KPI設定における、メジャーなフレームワークです。
「SMART」は以下の頭文字からとっています。
- S:Specific(具体的)
- M:Measurable(測定可能)
- A:Achievable(達成可能)
- R:Relevant(関連性がある)
- T:Time-bound(期限が明確)
まず、当たり前ですがKPIを達成することでKGIに近づく必要があります。
加えて、KPIは具体的で期限内に達成可能(現実味のある内容)な必要があります。
SMARTを活用することで、上記を満たすKPI設定が可能になります。
ベーシック法
こちらも基本的な目標設定のフレームワークの一つです。
達成計画を以下4つのステップで構築します。
- 目標項目(達成したいこと)
- 達成基準(何をもって達成とするか)
- 期限設定(達成までの期限)
- 達成計画(具体的に何をするのか)
ベーシック法は色々なフレームワークの元になっている基礎的なフレームワークです。
シンプルでわかりやすいため、初めてKPIを設定する際に採用してみてはいかがでしょうか。
MECE
MECEは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略称で、「ミーシー」と読みます。
「漏れなく・重複なく」情報を整理するための、ロジカルシンキングの基本概念として、様々なビジネスシーンで活用されています。
4項目は、それぞれ以下の意味があります。
- Mutually(互いに)
- Exclusive(重複せず)
- Collectively(全体で)
- Exhaustive(網羅されている)
MECEは不備や見落とし、無駄を省くことに役立ちます。
SMARTなどの他のフレームワークとかけあわせて使用することで、適切なKPIを設定するための助けになってくれます。

みんなすまねぇ、おらはここまでみてぇだ…
覚える言葉が、多すぎる…(ガクッ)

おつかれさん、別に一度に覚える必要はないぞ。
記事を見返したり、実際に設定したりしながら、徐々に覚えていこう。
KPIの具体例
最後に業種ごとのKPIの具体例を紹介します。
設定の際の参考にしてみてください。
業種 | KPI |
---|---|
営業 | 売上高、契約獲得率、商談件数、テレアポ数、新規顧客獲得数、リード獲得数、リピート率、平均契約単価、クロスセル・アップセル率、顧客離脱率 |
マーケティング | 顧客獲得単価(CAC)、顧客生涯価値(LTV)、ウェブサイト訪問者数、コンバージョン率、ソーシャルメディアエンゲージメント率、メール開封率、クリック率 |
カスタマーサポート | 顧客満足度(CSAT)、ネットプロモータースコア(NPS)、平均応答時間、初回応答率、問題解決率、顧客維持率 |
人事 | 従業員満足度、離職率、採用単価、研修参加率、従業員エンゲージメント率、労働生産性 |
製造業 | 労働生産性、製造リードタイム、不良率、在庫回転率、設備稼働率、原材料コスト比率、廃棄率、歩留まり率 |
小売業 | 来店客数、客単価、在庫回転率、利益率、リピート購入率、返品率、販売チャネル別売上比率、サイトコンバージョン率 |
金融業 | 自己資本比率、ROE、ROA、不良債権率、営業利益率、新規口座開設数、金融商品クロスセル率 |
IT業 | 月次経常収益、ユーザー定着率、解約率、サーバー稼働率、アクティブユーザー数、セッション継続時間、アプリダウンロード数、バグ修正率、LTV(顧客生涯価値) |
物流・運輸業 | 配送時間順守率、積載効率、輸送コスト比率、配送事故発生率、燃料消費率、倉庫稼働率 |
飲食業 | 回転率、原価率、客単価、フードロス率、リピート率、オーダー提供時間、スタッフ生産性、予約キャンセル率 |

お、具体的な例はイメージしやすいねぇ。
ソラ、これ出すの大変だったんじゃないかい?

実はこのKPIの例、生成AIに出して貰ったんだ。
チェックして違和感がなかったから、掲載しているぞ。
何事も効率化、便利な世の中になったもんだねぇ…
まとめ
長々と書きましたが、KPIに馴染みがない方に最初に覚えてほしいのは、以下の2点です。
KGI:ゴール(最終目標)
KPI:プロセス(中間目標)
また、自分で設定する際は無理なく、ビジネスやプロジェクトの成功につながる指標を設定してください。
もちろんこの記事で紹介した他の情報も、是非覚えていってください。
中々覚えられない場合は、記事を見返してくれたらとても嬉しいですね。